孤独にそっくり

開いている窓の前で立ち止まるな

にわか読書家が『バーナード嬢曰く。』を読んだ。

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バーナード嬢曰くってのがアニメ化するらしいので、何となく気になってぐぐって画像とか眺めていたら面白そうだったので遅ればせながら読んでみました。
バーナード嬢曰く。 | 作品紹介 | 一迅社WEB

本を読まずに読んだコトにしたいグータラ読書家“バーナード嬢”と、読書好きな友人たちが図書室で過ごすブンガクな日々──。

作者について

アニメ化の記事読んでからぐぐって原作の画像を見たとき、正直「これが商業誌・・・?」と思ったのは秘密です。そういう先入観ってよくないですね。面白い漫画と絵がうまい漫画は違いますから。
施川ユウキ氏の作品は読んだことがないですが『え!?絵が下手なのに漫画家に?』っていうエッセイを出しているというのも面白いですね。

1巻の感想

たぶん僕も「読書家カッケー」という浅ましい理由が読書のモチベーションの半分くらいを占めているので、「読書キャラに見せようとしている」ド嬢の考えていることはよくわかります。
僕も電車の中で表紙をむき出しにして『死に至る病』とか読んじゃったりしていたことがありました(いや、本当に読んでいるんですけど)。周りの人間がスマホをいじっている中で、断固として本を読み続ける。はい、発想がもう中二病ですね。
面白い作品を読んでいるとそんなことどうでもよくなって没頭するので、身が入らないような哲学書のほうがそうなりがちな気がします。

彼女の語りも面白いのですが、そこに突然現れたる神林しおりなるガチ読書家(SFオタク)がまたいいキャラしてます。ザ・オタクでペラペラしゃべるし某掲示板とかブログとかに書き込んでそうです。
前にここでも書いた通り、僕はたいしてSF読んでないのですが、読み切った暁には彼女のようになっていることでしょう。
あと、唯一の男キャラである遠藤くんもいい感じに屈折してて笑いました。
シャーロキアンの長谷川さんは1巻ではまだ覚醒していないので影が薄い気がします。

共感できるところも多々ありましたが、「グレッグ・イーガン自身結構よくわからないまま書いている」説(水曜日のダウンタウンっぽい)はいかがなもんかなと思いました。、神林が小難しく多世界解釈っぽいことをまくし立てているのはパロディっぽくしてて面白かったのですが、もしSF作家が「よくわからんけどSFっぽいもの」を自覚的に書いているのだとしたら、それはそれで嫌じゃないですか?
つまりそれってただのファンタジーですよね。嗚呼、ここからSFとは何ぞやという問いがはじまるのか。なるほどめんどくさい。
ですが、僕は小難しい本を読むときには「自分にはわからんけど、きっと正しいことが書かれているんだろう」という幻想の中で生きていきたいと思います。

参考文献を眺めて、1巻で引用されている作品の中で何冊くらい読んだか数えてみたら、たったの16冊/67冊でした。僕がにわか読書家であることが露呈してしまいました・・・。

2巻の感想

2巻になると、1巻が名言ネタだったのに対して完全に本のネタにシフトしています。ジャンル的には海外文学の古典、SF、シャーロックホームズ、KAGEROU、絵本等ですね。
初っ端から遠藤くんの流行本に対する屈折した見解が披瀝されていていいです。
僕は「現代の日本人の作家なんて読まなくていいだろ。むしろすでに多くの人間や時間によって洗練された海外の古典や近代の日本文学も読んでないのにまだ早い」
中二病みたいな考えを持っているのですが(別に好きな本を好きなように読めばいいと思いますし普通に僕も読んでます)、
流行本を廃れた後に「あの本 大した内容じゃなかったよ やっぱり」と言いたいがために読むというのは、それにもまして歪んでいると思います。
本っていろんな楽しみ方がありますね。

あとは村上春樹三大奇書、火花、薄い本、黒い表紙について、サンリオSF文庫総解説、ピンチョン、さまぁ~ず、その他もろもろ、それぞれの話にわかりみもあり、言いたいこともありですが、ここに書くと大変なことになりそうなのでやめておきます。

参考文献を見たら20冊/103冊くらいでした。やっぱり全然読んでませんね。それに比べて、ド嬢のほうが読書してますね。偉い。

全体の感想

全体的に作品に対する解説やネタのソースがWikipedia(コラムで指摘されていますが)か某掲示板の発言か、アマゾンのレビューあたりじゃないのかなと思うところがいくつかありました。
僕がそれを見かけたことがあるだけで、作者がそれを見たとは限りません。
しかし、読書を趣味にしている(あるいは僕みたいに趣味にしようとしている)と、ふと孤独を感じることがあるものです。あるいは、飽きてしまって本を放り出したくなる、「読書なんて何の意味もない」と思いたくなることがあります。
少なくとも、僕はそういう瞬間があると、作品名や作者でググって感想ブログやレビューやWikipediaなんかを読んで、元気づけられることで、気持ちを新たに本を開くことができるのです。似たような感想を見つけたり、まったく違った考え方に出会うと楽しいものですよね。
この漫画も、同じように読書へ駆り立ててくれる気がします。作者のコラムも面白いです。

まとめ

今回どうしてわざわざ記事に書いたかというと、ちょうど読書メーターにおける登録数が300冊になり、何かブログに書こうかなと思っていたところにちょうどよい題材に出会えたからです。(まだたった300冊です)
300冊の内容を見返してみると、大したことはないし、世界文学も全然読み進められていないのですが、それでも少しずつ趣味になってきているのかなと思います。
読みたい本が膨大すぎて、絶望したくもなります。逆に、いままで読書してこなかった過去の自分のことを蔑みたくなることもあります。
僕と同い年で何倍も読んでいるひとはたくさんいるわけですから。
それでも、たった300冊であっても、僕の血となり肉となっています。
何より大切なのは、ゲームも、映画も、漫画も、アニメも楽しいけれど、
読書も同じくらい、いやそれ以上に楽しいということに気が付いてしまったということです。


本当はもっと本のレビューとかしたいんですが、めんどくさくなって途中で投げ出してしまうことが多いのが現状です。
それに、文章を書くのが下手くそなので、そんな恥ずかしいことをするくらいなら読書をしているほうがいいと思っているのもあります。
とにかく、読書って楽しいんですよ。僕はまだにわか読書家ですが、あと5年くらいしたらそれなりに読書家と胸を張って言えるようになっていてほしいです。
もはや最後は漫画のレビューでも何でもないですが、さて、次は何を読もうかな。